リンゴォblog

男の世界へようこそ

越境者 又吉直樹とRonda Rouseyあるいは吉田沙保里

又吉さんの『火花』がまさに飛ぶように売れていて、
遂に出版冊数で200万部を突破したとのこと。

火花

火花

この間もキャバクラで「普段は本なんて読まないけどこれは読んだ」という
女の子がいて、その膾炙っぷりをまざまざと見せつけらる思いがしました。
もはや文学というジャンルを軽々と越境し、時代のアイコンとなっている。

僕も読みましたが、確かに面白くて、主題となっている「芸人としての焦燥」は
起業してしばらくのあいだのことを思い出し、更には現在の自分の身を思い、
読んでいて、自分の隠している部分をグサグサと刺されているような、
しんどい想いをさせられる小説でした。

賛否両論あるようですが、僕のスタンスは大絶賛。
娯楽がこれだけ多様化して、かつジャンルごとに分断されていると、
特定ジャンルの特定の人たちの間では熱狂的な人気があるコンテンツというのは
山のようにあれど、特定ジャンルの境界を軽々と越えて、人口に膾炙するものや
それを生み出したひと、存在というのはある種のギフトだと思う。

小さな演芸場で漫才してたつもりが、いきなりゴールデンにぶっこまれた心境と
又吉さんも言っていましたが、越境するコンテンツというのは、
なろうと思ってなれるものでもなければ、ましてや、
なりたくてなれるものでもない。

才能や努力や時代の流れや偶然など色んなものが重なって突然生まれたものには、
ただただ乗っかって楽しんだもん勝ち。

バスケットボールというジャンルを超えたMichael Jordanに酔い、
将棋というジャンルを超えた羽生善治に酔いしれるのと同じように、
僕たちは越境者というギフトを心から味わうのだ。


ちなみに僕が今、最も注目している現在進行形で越境中のスターは、
先日のUFC190で、もはや恒例となっている秒殺ショーを披露した女性格闘家の
Ronda Rouseyです。



北京五輪での柔道銅メダルを手土産に殴りこんだUFCでは敵なし。

強いだけの選手なら山ほどいたし、今もいますが、
彼女の圧倒的な強さに加えて、歯に衣きせぬ物言いやキャラクターや
セクシーなグラビアに見られる綺麗なルックスがあいまって、
USでは既に圧倒的なスターになっています。
WadeやKobeのようなスポーツセレブからの注目はもとより、
普段は格闘技なんて見ないような女性までも彼女の試合をfacebooktwitter
言及するという現象が起こっていて、新しい女性スターのアイコンとなっている。

Rondaを倒すとしたら、あいつしかいない。
日本が誇る「霊長類最強女子」吉田沙保里だ。
遠くない未来、リオでの金メダルを小脇に抱えた吉田がRondaと対戦する日が来る。

ふたりの越境者がぶつかる日を夢見つつ、
僕たちはいつ来るかもわからない自分自身の越境の瞬間を夢見て、
一歩一歩行くのみ。