リンゴォblog

男の世界へようこそ

坂本勇人の度胸 あるいは菅野智之の涙

「相変わらず、図太い奴だな、ほんと」

オフィスのPCで仕事しながら見ていた巨人vs阪神
真夏の天王山第3Rでサヨナラヒットを打ち、
ヒーローインタビューに応える坂本勇人を見て、
いつの間にか自然とこの若き主将を自然とチームの
中心として見ていた自分に気付いた。

伝統の「読売巨人軍主将」の看板を背負うも、その重圧を感じさせず、
いつも飄々としているように見えるが、
それでもピンチの時にはふらっとマウンドに近寄ってみたり、
今日のような決めるべきところではちゃんと仕事を果たす。

首位攻防戦、勝てば3連勝で阪神に0.5ゲーム差に迫る試合の最終回、
無死満塁から得点できない嫌な流れの中で、
打席に入る前に菅野の両親の表情を見る図太さ。
そしてヒーローインタビューではその両親をいじる余裕。
選手がボス原監督の妹を公でいじったのなんて初めて見た。

headlines.yahoo.co.jp


普通の26歳が、例えば抜擢人事されようものなら
バッキバキに気合い入れて、弱みを見せまいと神経すり減らして、
胃が痛いのを隠して闘うのが相場だ。

それが良いとか悪いとかじゃなくて、坂本勇人は26歳にして
既にそういう次元のプレイヤーではないということが凄い。凄すぎる。

先輩チームメイトからも
「勇人は切り替えがほんとに早い。見習いたい」と言わせる
毛の生えたような強心臓。

もちろん天性というのもあるのだろうけど、
2007年にデビューしたときから巨人の一員として注目され、
大きな賞賛とそれ以上に過剰にdisされてきた経験の賜物なのだろう。

大きな賞賛と過剰な批判が、強靭なメンタルを育て、
その強靭なメンタルで以て更に大きな賞賛と批判をもたらす。
いわゆるひとつのポジティブ雪だるま状態。

坂本勇人の成長曲線の描き方は、決して他人事ではない。

「結局さ、図太い奴が勝つんだから、もっと外に出たほうが良い」

昨今のSNSの普及によって、よく指摘されることだ。
WEB上で話題になり、影響力を高め、ビジネスとしても成功している人たちは、
みな「炎上」を糧にポジティブ雪だるま状態を作っている。


菅野智之の涙に感情移入して、魂込めて黙々と頑張るのもいい。
「炎上」を糧に火事太りする著名人を見て、みっともないと思うのもいい。

ただし、それは下りのエスカレーターを昇ろうとする行為なのかもしれない。

上りのエスカレーターを軽やかに飄々と駆け昇るのも一局。
下りのエスカレーターを必死に泥臭く駆け昇ろうとするのも一局。

坂本勇人が今日はとても眩しく見えた。